豊田市民芸の森:森のアート展成功までの道のり2

豊田市民芸の森:森のアート展成功までの道のり2

森のアート展成功までの道のり1を見ていない方はこちらをどうぞ

うまく行き過ぎたギャラリートークとワークショップ

今回の個展は私にとって3回目なのですが
ギャラリートークワークショップ初体験
でした。

人前で話すことに苦手意識が強いのですが
これからこういう機会は増えていくはずなので
逃げているわけにもいかないと開催する事に
しました。

”本当の自分の見つけ方”と題し
ギャラリートークを告知したものの”答え”
なんて持ち合わせていなくどうしたものかと
悶々としていました。

ギャラリートークの構成急遽変更

森のアート展成功の秘訣1でもお話ししました
が私の絵は”無”になって、目には見えない
けれど存在しているもの、自然のエネルギー
や人の想い音楽などをアクリル絵の具
使って色に変換するような感覚で描いて
います。

ですから、何か表現したい具体的なものが
あるわけではなく受け取り方はすべてを
鑑賞者に委ねているので解説はいらない、いや
解説することで自由な受け取り方じゃまして
はいけないと考えていました。

ですので、ギャラリートークでも作品解説
しながら会場を回るということはせず、私が
経験してきたことのお話しを通して本当の自分
を見つけていただくきっかけになれば・・・
と考えていました。

しかし、初日に来てくれた作家仲間のおかげで
作品のそばで私がお話しすることの重要性
気が付き急遽作品解説しながらの
ギャラリートークをすることになりました。

ギャラリートーク当日

私の絵の描き方の感覚を味わっていただこうと
前日に思いつき急いで小さな紙切れクレヨン
を用意しました。

みなさんに配り終わるやいなや、10秒塗り
つぶすでも線をひゅっと描くでもいいので
パッと描いていただきました。

もし、私が
なんでもいいのでを描いて下さい」と
言ったら躊躇してみなさん描けなかった
思います。

上手に描かなければという概念に引っ張ら
ブレーキがかかってしまうのです。

それを”塗りつぶす”など具体的な動作の指示と
10秒”という考える間を与えないことで
簡単に心のブレーキが外れ皆さん”何か”を描く
ことができました。そして、サインをして
いただき作品になったのです。

これは誰にでもできる簡単な作品ですが
誰にもできない世界で一つだけの作品です。

私は誰もがみんなそれぞれにしかできない何か
を持って生まれてきている。と信じています。

なのに人と比べて私は才能がないから・・・
上には上がいる・・・
もう年だから・・・と言ってせっかく持って
生まれた才能の種発芽させないで
人生こんなもんだ諦めているのです。

何かをやりたい!と思えば必ずブレーキ
かかります。

それは家族友人反対かもしれない。
自分にはできないという恐れかもしれない。

でも、ブレーキがかかることほど本当は自分が
やりたい事だと思うのです。

本当の自分を見つける」にはブレーキ
かかる事、怖いと感じる事に何でもいいから
具体的に手足を動かして行動してみることでは
ないでしょうか・・・

ワークショップのインストラクターを5歳の甥に抜擢

ギャラリートークのあと引き続き
ワークショップとなりました。

ワークショップ竹林に展示した絵馬を見立て
オブジェを皆さんにも作っていただき展示
ることでアーティスト気分を味わっていただく
という趣向でした。

こちらも絵馬という概念に引きずられず自由な
発想の物体を創って頂きたいと目論んでおりま
したがそうは簡単にはいかないだろうなと予想
していました。

そこで数日前に試しに5歳の甥に私が絵を
描いたプラスチックボードを渡し自由に切って
ホチキスで留めてごらん。と言うと見事に奇想
天外な物体
創造してくれたのです。

これはかなわないな。とその場で彼をインスト
ラクタースカウトしました。引っ込み思案
彼は恥ずかしいけどいいよ。と快諾してくれま
した。

叔母としては彼に人前に出て自分を表現自信
をつけてもらいたいという密かな思い
ありました。

アーティスト性の爆発

ギャラリートークは大人の方が多かったので
ワークショップに参加されるのは半分位の方
だろうと思っていましたがほぼ全員参加され
用意していたハサミが足りないくらいでした。

 

さてさて、本日はインストラクターの先生
お呼びしています!

甥っ子は自分の出番だ!と皆さんの前に出て
少し後ずさりしながらも自分の名前年齢
大きな声で言うことができました。

早速プラスチックボードを何の躊躇もなく
サクサクと切り刻み、素早くそれぞれの
ピースの組み合わせを考えながらホチキス
留めあっという間に世界にひとつしかない形
創造したのです!

それを見ていた参加者さんは
これでいいんだ」と心のブレーキが外れ
自由な発想オリジナルの作品を大人も子供も
創ることができ全員アーティストになったの
です。

すると出来上がった作品の撮影会が始まりま
した。切り株に置いてみると出来上がった
作品がより引き立ちます。苔の上に重ねる人も
いました。個性の強い切り株に置いて合わない
と感じると誰かがここにひっかけてみたら?と
華奢な小枝を指さします。どんどんアイディア
が浮かんできてみんな大興奮です!

一番びっくりしたのは何を隠そう私自身です!

私が用意した作品例の数十倍良い作品
みなさん創りだされました。

子供だから自由な発想でやれたのではありま
せん。私こういうの苦手なのよね、切るのが
もったいないからこのまま持って帰りたい!と
おっしゃていた年配の方も素晴らしい独創性
発揮されました。

できた作品は森のアート展の一部として展示
する予定でしたがあまりにも出来がいいので
持って帰りたい方はお持ち帰りください。
来場者にも見てもらいたい方は今から竹林
吊るしに行きましょう。となったのです。

こんなにうまくいったのはギャラリートーク
自然やアートの内側を巡り非日常空間と一体に
なりその中で創作したから・・・

5歳のインストラクターが何の気負いもなく
素直自分の中にあるものを表現することに
より皆さんの心のブレーキが外れたから・・・

普段出会わない感覚作家の話を聞き
少しずつココロが解放されたことにより本来の
自分がひょっこり顔を出したから・・・

なのではないでしょうか?

『あなたも わたしも アーティスト』

この私の一番伝えたい想い体感していただけ
うまく行き過ぎなくらいに成功したのでした。

ギャラリートークとワークショップの様子は
こちらから↓↓↓


youtube  Artist 紫乃murasakino ch

 

参加型の展示

『あなたも わたしも アーティスト』
体感して頂きたいのはワークショップの参加者
だけではありません。森のアート展に来てくだ
さったすべての方に展示に参加していただきた
いと考えていました。

みんなで一つの作品を創るといっても私が
ずっと会場にいるわけではないので難しいし
絵を描くといってもなかなか参加してもらえ
ないだろうな・・・と悩んでいました。

つなげるおみくじで想いを繋げる

SNSを何気なく見ていたら伊藤咲穂さんという
アーティストさんが「幸福連鎖御神籤
(つなぐおみくじ)」と題しおみくじを引いた
方が次の人の為にお告げを書く。という
インスタレーションを行っていてこれだ!と
閃きこちらを参考にさせてもらいました。
(2020年現在「つなぐ おみくじ」として
商標登録中 今後オープンソースとして展開
していく予定との事)

これをぐるっと会場を回って頂いた最後の建物
田舎家に設置しました。

自分の思いを書いてください。
とお願いしてもなかなか自分のことって
わからないですよね。

それがお告げという形で”誰かに向かって”
だったら何か書けるのではないかと思いま
した。そして、それが
案外自分自身に言っている言葉だったりする
のではないか・・・と

このおみくじは不思議なことが起きました。

なんと、おみくじを引いた方にピッタリ
メッセージが出るのです。

一人だけたまたま・・・ではありません。

何人もの方が

この言葉を大切にしようと思って
いたんです!

どこかで私のこと見てたの?!
ていう内容だったり

本当によく当たるのです。

引いたおみくじに結んでいただいていた
のですが、大切に持ち帰られたり写真に収め
たりする方もいらっしゃいました。

中にはご夫婦でいらした方が、ささっと引いた
おみくじを結んでいる旦那様に奥様が何と書い
てあったのか尋ねると「教えない」と一言。
何度も奥様は聞いていましたが結局教えては
くれなかったのです。

でもそこには
あなたの頑張りはみんな見てますよ!」と
書いてあるのを私は知っていました。

何か心に刺さるものがあり、それを奥様に
悟られたくない。との思いがあったのかも
しれません。

それからこのおみくじは毎日変化していく
インスタレーションでもありました。
みなさん知らず知らずに作品作り参加されて
いたのです。

ここでも
『あなたも わたしも アーティスト』
密かな仕掛けになっていました。

森のアート展で変化した人々

この民芸の森でアートの力を再認識しました。

私は今まで美術館などで素晴らしいとされる
作品を見てきましたが会場の中感動すること
はあっても会場の外まで及ぶ影響があるという
のをほとんど体験したことがありませんでした。

まさか自分の作品でこれほどまでみなさんに
影響を及ぼそうとは思いもよりませんでした。

民芸の森のスタッフ

私がこの展示を通して伝えたかったのは
『あなたも わたしも アーティスト』だと
いうこと。

そして作品私自身に関わった方の心の世界
変わって明日から、いや今日から世の中や自分
に対する見方が変わること。

この思いがちゃんと伝わっているんだという
事を受付のスタッフの方が教えてくれました。

彼女は臨時で一日だけ受付に入ってくださった
方でしたが、朝から私とお客さんの会話に耳を
そばだてお客さんの顔がパッと明るくなるのを
何度も目撃し、コロナ禍や先行きの見えない
漠然とした不安の中にいた自分の心の中が明ら
かに明るい方変化していくのを感じたのだ
そう。

そしてアラ還の自分の中にも可能性を見出して
もいいんだと思え、今まで長年やってきたけど
これって意味あるのかなと思い悩んでいた趣味
続けていこうと思えたと目を潤ませながら
お話ししてくださいました。

そして、紫乃さんに出会えてよかった
おっしゃって下さいました。

他のスタッフの方の中にもおうちで介護の問題
を抱えていらして私の展示を観ることで随分
が救われ、写真撮ってもいいですか?友人にも
勧めます。とおっしゃってくださる方が
いらっしゃいました。

また、別の日に彼女にお会いした時には
介護といっても、ずーっとそばにいるわけでは
ないから紫乃さんみたいにアクリル画隙間
時間に描いてもいいですよね。と行動に変化
兆しが出ているようでした。

私は介護の合間にやるのなら色鉛筆クレヨン
などの簡単に手に取ったり途中でやめたりでき
る画材がいいですよとお勧めしました。

何も考えずにグルグルと線を描くだけでも
気持ちが落ち着きストレスが解消されます。

時にはイライラをそのままぐちゃぐちゃっ
表現する事必要だと思います。

新聞を見てビビビ、絶対会えると思って来ました!

ある日繁々と作品を眺めている30代位の女性
おひとり。声をお掛けすると

作家さんですか~!
新三河タイムスを見て来ました!絶対会える
思って来ました!

彼女は一般的な会社員として働いているそう
ですが、最近自分は”感性の人”だと思い当たり
心の中にグワーッ吐き出したいものがある
のにその方法がわからなくて不調湿疹や頭痛
といった形で出てきている。というのです。

今まで陶芸の体験をしてみたり、誘われて
絵手紙のような教室に通ったけれど心が
満たされることがなかった。と

私は自分の今までの体験を彼女にお話ししま
した。すると、彼女は自分を制限していたのは
社会や家族などの自分のまわりのものではなく
自分自身だったということに気が付きました。

そして、今日絵の具とスケッチブックを買って
紫乃さんみたいにやってみます!と言って
会場を後にされました。

後日アンケートに書いて下さっていたアドレス
メールしてみると、早速やってみましたが
とっても楽しいです!という返信がきました。

さっぱりわからん。

森のアート展にいらっしゃる方皆さんが手放し
に喜んでくださるわけではありません。

展示があるとは知らずたまたまお散歩のついで
に観ていかれる方もいらっしゃいます。

ある年配の女性は障子の間に挟まった光を通す
をちらっと観て

さっぱりわからん。と一言。

そうですよね~わからないですよね~
私。

私は”無”になってその時感じたもの
変換しているので何か具体的なモノが描いて
あるわけではないので自由に観ていただいて
いいんですよ!

ふ~~ん・・・。

 

おみくじ引いてみませんか?

 

おみくじを引いた方は次の方の為にお告げ
書いていただきたいのですが・・・

書かなきゃいけないの?

 

いや、書かなくても大丈夫ですよ。

 

そんなやり取りをした後、私が何をお話し
させていただいたのかさっぱり覚えていません
が、たぶん他の方たちに話す内容と同じだと
思うのですが、その女性はどこかのタイミング
から

いや~素晴らしい!素晴らしい絵ですね!

おみくじも書かせて下さい!

 

となったのです。摩訶不思議

鑑賞される方は作品だけでなく作家の人柄
含めて作品を観ていらっしゃいます。

価値観が違うのだから理解していただけなくて
当たり前。でも、あきらめずにフラットな姿勢
で対応すると鑑賞者の見方が変わるんだという
経験を期間中何度かさせていただきました。

いとこのMくん

豊田出身の私は会場近くに住む同い年のいとこ
がいます。

彼は私のことをせっかく一流ホテルに就職した
のに転々と仕事を変え、今度は何をやり出し
かと思えば絵を描いてる?!

それも
全く理解できない何を描いてるのかもわから
ないような絵・・・という認識で会場に顔を
出してくれました。(笑)

もちろん、実際の絵を観ても、わからない~
の連発!当然ですが彼は自分の目に映っている
ものだけを観て何かを判断しようとしていたの
です。

もともとアートには疎く自分は理解できる
タイプではない
。と思い込んでいたこと
もあり心の目を閉じているのを私は感じていま
した。

わからないかもしれないけど、一緒に会場を
回ってみない?と誘い大人になってからの私の
人生の歩みを話しました。

すると二つ目の建物、三平宅という古民家
よかったら靴を脱いでボーっとしてみない?
と言うと靴を脱ぎ、壁にもたれて太くて長い
足を投げ出ししばらく脱力していました。

 

彼はそれまで作品を自分の外に置いて眺めて
いましたがその瞬間”場”の内側にすぽっと入り
込んだのです。

 

玄関やリビングにこの絵があったらいいな~

えっ!!耳を疑いました!

ほんの30分前まで全くアートには関心がない
上に、私のワケガワカラナイ絵は彼に混乱
与えていました。その同じ人物が自宅にこの
絵を置いたら何かが変わるのではないか~
と感じたようでした。

実際彼は人生で思いもよらない出来事が起き
それまでどん底の気分の中をとぼとぼと歩いて
いました。何とかしてあげたいと数年前から
思ってはいましたが、手だてがありません

それがほんの数十分アートに触れただけで
別人に変わってしまったのです。

 

それまでは口を開けば愚痴がこぼれることが
多く恨んだ気持ち手放せないようでした。

それからは一切愚痴を言わなくなり後日思わぬ
も舞い込みました!

そして個展の最終日人生で初めて買ったという
花束を持って照れくさそうにお疲れさま
エールを届けに来てくれたのでした。

わたし自身

一番変化したのは私自身だと思います。

アート活動に対し以前は自分で積極的に動く
ことはせずいつも受け身でどこからか良い
話が降ってこないかな~と待ちの姿勢を決め
込んでいました。

それが、民芸の森で展示が決まると今まで生活
の糧であった花屋の仕事を手放し作家として
生きていくことを覚悟しました。

森のアート展が始まる直前には豊田市美術館
駆け込み翌年のギャラリーでの展示の申し込み
を済ませました。

美術館ギャラリーでやれる自信がついたら
いつかやろう作品がたまったらやろう!と
言っていては「いつか」は来ないと思い
とにかく行動を起こしました。

考えていては
足がすくんで動けなくなると思ったからです。

また、展示を観てくださった方からの反応
お言葉からワタシというもが持っている
価値、素晴らしさ実感しました。

今まで身近な人から、ワタシの持って生まれた
ものの素晴らしさというものを伝えて
もらっていましたが受け取ることができず
自信を持つことができなかったのです。

 

最後に・・・

アートの力再認識しました。

コロナ禍の中こんな時だからこそアートを!
ってフレーズよく耳にしますがどこか薄っぺ
らく感じていました。

でも本当にアートは人に影響を与えるパワー
持っていることを体感しました。

 

ひと時眺めたアート

ほんの一瞬交わした会話

その人の人生に大きな変化をもたらすのです。

 

いつの頃からか私が心の奥底で叫んでいた思い

本当の自分を表現することで

誰かを癒したい
勇気づけたい
苦しんでいる人を助けたい

というおこがましい思いが、
ちゃんとイロコトバに乗って人に届いて
いる事森のアート展を通して知ることが
できました。

 

会場まで足を運んで下さった方はもちろん
遠くから応援してくださった方々
民芸の森のスタッフさん
展示を開催するにあたって尽力くださった
方々
この場をお借りして感謝を伝えたいと思い
ます。

ありがとうございました。

 

2020年師走 紫乃~murasakino~

 

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  1. […] 2へつづく・・・ […]

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